新三大「山崎豊子作品の波乱万丈すぎる主人公 その参 白い巨塔 財前五郎」

ライフスタイル

早いもので、この大人気シリーズも最終回となってしまいました。その壱「不毛地帯 壱岐正」その弐「弐つの祖国 天羽賢治」は読んでいただけましたか?読んでいただいた人は山崎豊子に興味が湧いたのではないでしょうか。壱岐正、天羽賢治ともに「戦争」という事故に巻き込まれて、その運命を大きく変えていきましたよね。

最終回は従軍を経験していない男が主人公で、山崎豊子作品の中でもトップの知名度を誇る作品「白い巨塔」より財前五郎を紹介します。「白い巨塔」がなぜここまで人気作品になったのか、主人公の天才外科医・財前の魅力を踏まえて考察していきます。

ネタばれ注意

「白い巨塔 財前五郎」の人生

癌治療の第一線にあるものが早期発見出来ず、手術不能の癌で死すことを心より恥じる

財前五郎は浪速大学医学部医学科卒業、浪速大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士です。浪速病院第一外科助教授、後に第一外科教授にあるために工作します。身長5尺6寸(約170cm)、筋肉質の体格の人物です。

傲慢で上昇志向が強いですが、助教授時代から大学での臨床講義を熱心に行い、胃の縫合法である「財前式縫合」を考案するなど、医学者としても情熱を持っていました。

ですが、医者としての権威を得た後、医学生からの親友でライバルの里見らの忠告に耳を傾けなかったために佐々木庸平を死なせてしまい、結果裁判に巻き込まれてしまいます。さらに学術会議会員選挙などの雑事に忙殺される中で医局員を票のための手駒扱いし、裏切った者を容赦なく切り捨てるなど次第に人間味を失っていきます、、

鵜飼を抜いて医学界の頂点に立ってやろうという野心まで抱くようになったりましたが、志半ばでの病により挫折と苦悩、絶望のうちに死を迎えてしまいます。

死因は自分の得意分野であった「癌」でした。その後、病理解剖を大河内教授に要請する遺書が枕下から出てきます。

そこがまさにクライマックスなのですが、非常に心にくる遺書内容です。財前の性格、人生観が伝わってきます。そして最後、冒頭の文章で遺書は締めくくられます。

また財前はタンホイザー序曲(ワーグナー作曲)がお気に入りであり、鼻歌まじりに手術のイメージトレーニングをします(笑)

ドラマの第壱話の冒頭シーンは、この曲を鼻歌で歌いながら、目を瞑って架空オペをしている財前から始まります。正直ちょっと怖いですよね(笑) 

また原作では良き家庭人としても描写されていますが、映像版ではほとんどカットされています、、可哀想な財前です。

財前五郎の魅力

とにかく財前は、出世欲の塊です。幼少期から貧困だった財前は、必死で勉強して医学部に入学します。

医者になってからも、抜群の技術力でその地位をどんどん確立させていきます。よき友でライバルの里見とは、その医療方針が真反対になります。

里見は「患者に最もベストな治療を行う。そのためには院内の関係は無視する」というスーパー正義ドクターです。普通なら里見が主人公でしょう。財前は「出世のために、患者を治療する」というスタイルです。でも、動機は何であれ、財前は「回復不可能」と思われた患者をどんどん全快させていきます。

しかし、ある日、院内の関係上、財前が手術をすれば出世にマイナスになる案件が来ます。里見は当然、財前に要請しますが、財前はこれを断ります。ここから二人の溝は深くなり始めて、、

東教授とはバチバチにやりあいますが、ここの政治戦争が本当に面白い。最終的に勝利を確信した財前は、東教授の目の前でとんでもない行為に及びます、、読んでいても声がでました(笑)

また今でもパロディで使われる「東教授の総回診です」は白い巨塔のドラマが元ネタですよ!

里見と財前の関係

最終回、財前は自分の病状がかなり深刻であり、余命も近いと自分自身を診断します。本当の事を言わない浪速大の後輩たち、、

財前は親友でライバルの里見に診断を仰ぎます。

里見は余命三か月以内と、本当の事を告げます。その上で終末医療を自分にやらせてほしい。君を救いたいと財前に言います。その言葉はともに学んだ親友としての言葉でした。

その言葉を財前は受け止め、「やはり僕の診断と同じだよ里見、、」と目に涙を浮かべ、苦笑いします。その後財前が下した決断は実に財前らしいものでした。

財前はあれだけ里見とぶつかっても、医者として最も里見を認めていたことがよくわかり、また親友同士の、権力の関係のない友情に心が打たれます。

いかがでしたでしょうか。本も少し長いので、クオリティの高い唐沢版のドラマ「白い巨塔」を見るのもおすすめです!

ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました